「荒物」という言葉をご存知だろうか?
荒物とは、ほうき・ちりとり、バケツやジョウロなどに代表される簡単なつくりの家庭用品のこと。
ひと昔前は「荒物屋さん」と呼ばれるお店が町の商店街には必ずあったそうだが、機械で大量生産されるプラスチック製品や金属製品などが私たちの生活の大半を占める中では、なかなか聞くことも見ることも少なくなってしまった。
竹で作られたしちりなかご (Image: 暮らしの道具 松野屋 )
近年、自然の物から丁寧に作られる日本の質の高い荒物は海外からも注目を浴びている。フランスのパリなどで展示会が開かれたり、ヨーロッパのセレクトショップでも荒物が店頭に並ぶなど、丁寧な暮らしをしたいという人々からの関心を集めているようだ。
そんな「荒物」を日本で古くから取り扱ってきた荒物問屋の代表格が「松野屋」だ。
日本橋・馬喰町で昭和20年から卸問屋を営んでいる松野屋では、3代目である松野弘さんが自ら全国の職人を訪ね、「誰がどんな物を作っているかを確かめる」のだそう。
全国の職人が作る荒物 (Image: 暮らしの道具 松野屋)
そんな老舗荒物屋「松野屋」の店舗は東京に2つあり、卸売専門の本社が日本橋馬喰町に、そして一般の方むけの松野屋直営店舗「谷中松野屋」がJR日暮里駅から徒歩3分の位置にある。
今回は、一般の方向けの店舗である「谷中松野屋 」(写真左)を訪問してきた。
JR日暮里駅の北口を出て目の前に見える坂を登り、老舗佃煮屋の「中野屋」のいい匂いをかいで進んだ先にお店がある。
私が訪れた日はあいにくの雨だったが、普段であれば店先に様々な種類のカゴやバケツなどの大きめのサイズの商品がずらりと並ぶそうだ。
店内に入ると、昔ながらの懐かしい掃除道具や料理器具などのいわゆる「荒物雑貨」がずらりと並ぶ。
店内の奥には松野屋オリジナルの鞄製品もびっしりと展示されている。
「暮らしの道具」という言葉が店の名前にもなっている通り、松野屋で取り扱う商品は芸術的な”工藝品”ではなく職人が生む日用の”道具“。
荒物の良さとは、プラスチック製品や家電製品のような「決まりきった使い方」がないことにあると感じる。いわゆる商品のパッケージや説明書に詳細な使い方が記載されている”用具”のとは違い、松野屋の提案する暮らしの”道具”にはどうやって使おうかな?と考える楽しさがある。
そんな事を考えながら店内の商品を見てまわるだけでもワクワクする、谷中松野屋へ訪れてみてはいかがだろうか。
SHOP INFO
暮らしの道具 谷中 松野屋
東京都荒川区西日暮里3-14-14
定休日: 火曜日(祝日は営業)